カンナ社を起こして間もなくの頃だから、もう3年ほど前になる。
名古屋市立大学の川本徹先生の研究室にお伺いして、先生の映画論をうかがった。
そのとき氏は、「トイ・ストーリー」論をだしたいと熱っぽく語られた。
わたし自身トイ・ストーリーにあまり馴染みがなかったのと、著作権問題が目の前に立ちはだかり、難しいとお答えした。
いま考えれば、それはひとえにわたしの力不足のせいだった。
その代わりに、森話社にお願いして、ウェスタン映画論『フロンティアをこえて』が生まれた。
刊行後、出張先の西南学院大学(福岡)の大学院生から『フロンティアをこえて』が面白かったと声をかけられた。
こんな遠くに読者がいたなんて! イイ本をだすということはこういうことかと感動した。
そしてこのたび、平凡社刊『トイ・ストーリー講義―もうひとつのアメリカ文化史』が出版された。
わたしの方は、声をかけられた大学院生と“メル友”になり、いまも映画評のやり取りがつづいている。
コーディネートの妙、である。