横浜市中央図書館は好きな場所だ。
一般書と学術書のバランスがよい上に、万人に開かれている印象がある。
先日も調べ物をしに同処に行った。
2時間ほど過ごし、帰ろうと5階からエレベーターに乗ると、4階である老人が乗ってきた。
途端、悪臭がエレベーター内に籠る。私はその人に集中した。
ヨレヨレの破けたシャツとズボン、足は垢だらけ。まるで道端にいるホームレスが場所を変えてそこにいるようだった。
が、思慮深そうな横顔と、手に分厚い本を持っているのが興味を唆る。
1階に着いてその年老いた男も外にでた。
しばらくして、野毛坂の途中でさっきの老人が現れた。
歩車道の境界に立つ円柱に腰をかけ、弁当らしきものを広げて食べようとしている。
すれ違いざまに見た中身は、何と表してよいか分からないが、胃のなかに入れるようなものには見えなかった。
この人はどんな半生を送ってきたのだろう。
そして今はどんな精神で日々を過ごしているのだろう。
生きることは凄まじい。