1967年の作品である。その頃日本では東映怪獣映画や東宝若大将シリーズが全盛であり、小学生であった私も、近所の高砂京成映画館に通ってモスラーと加山雄三とともに楽しい時を過ごしていた。それから10年ぐらい経って、テレビで初めて『冒険者たち』を観たのだと思う。私はこの映画がとても好きになった。主題歌の口笛に誘われるように、その後何度も観ている。
3人の主人公(男2人、女1人)がパリでそれぞれ夢に破れ、アフリカのコンゴへ宝探しに出るというストーリー。馬鹿げたおとぎ話にならないように、「コンゴ動乱」が背景にあることを記録映像を使って説明している。また要塞島のシーンにはナチス・ドイツの残した鉄兜や拳銃や柄付き手榴弾が遺り、クライマックスの活劇を可能している。
そして、3人は冒険映画の主人公にふさわしくない人物である。アラン・ドロン演じるマヌーはつまらない色男であり、また、リノ・ヴァンチュラ演じるローランは普通の中年男であり、ジョアンナ・シムカス演じるレティシアもただ芸術が好きな若い女であった。男2人はまったく共通点がなく、それだから気が合うようだが、どう見てもマヌーがレティシアに好意を持っていることはみえみえである。しかし彼女は——。
人物についてもう少し説明すると、ローランはエンジン・オタクであり、風格からして40歳代半ばか後半ぐらいに見え、老眼鏡をかけている。機械ばかりいじっているからか、どこか知的な雰囲気があり、いろいろな場面でマヌーの短絡的な行動を冷静に制止する役割をする。ところが、自家製のエンジンを搭載したレーシング・カーの試運転では、エンジンは車ごと大破してしまう。
マヌーは飛行機の操縦士という格好良い職業であるが、知性は感じられず、操縦席に座る姿が何か滑稽で、私は犬小屋の上のスヌーピーのような印象を受ける。パリの凱旋門を潜り抜けることで懸賞金を獲得しようとするが、失敗しただけではなく、その企画自体が嘘であり、挙句の果てに飛行機の操縦免許も取り消されてしまった。ただこの懸賞金事件をきっかけにして、コンゴ動乱のときに国外脱出した要人がその財産とともに海の藻屑と消えた話を知ることになる。
レティシアは、金属の廃材を溶接し穴を空けて大きなモビールを作る前衛芸術家である。個展を開くが、よい評判を得られない。夢は遠退き、2人の男たちが企てるコンゴでの宝探しに加わる。レティシアと2人の微妙な三角関係は、美しい音楽とともに哀愁を帯びていく。
出発の日。夢に破れてまずマヌーが、そしてレティシアがスーツケースを携えローランのもとに集まった。パリ郊外の廃車置き場の中にあるローランの家から、一気に青い空、青い海へと漕ぎ出す舟の上に移動するコントラストは、胸をわくわくさせるものがある。コンゴで3人は子どものように何も考えずにその日その日を愉快に過ごしているように見えるが、不穏な影が忍びよる。
レティシアの美しさと、ビスケー湾に浮かぶ要塞島が見える彼女の故郷をローランとマヌーが訪ねる場面は忘れられない。