この度こちらのホームページから、地理の面白さや魅力について随時発信することになりました西脇保幸(にしわきやすゆき)と申します。
高校勤務時代に社会科教師として、専ら地理を中心に教えてきた経験から、大学では社会科教育とりわけ地理教育を担当してきました。地理教育の意義や方法を追究するかたわら、外国地誌を指導するための事例としてトルコ研究も主な専門領域に加えてきました。
皆さんの中には、“地理”という言葉を聞いて、どこで何がとれるだとか、○○県の県庁所在地はどこだとか、世界で一番小麦を多く生産している国はどこだとか、そういう無味乾燥な内容を、テスト勉強でいやいやながら覚えた記憶だけが印象に残っているという方も多いのではないでしょうか。もちろん、地理の学習では現代の地域社会、日本、世界が対象となるので、すべての基本的な空間構成を理解しておくことは必要になるものの、実生活において人間の生産活動や消費活動など個々のデータを逐一覚えておくことはないですし、そうしたデータは推移してしまいますから、あまり意味を持ちません。
むしろ、情報機器の発達した現在では、自然環境と人間の活動がどのように関わり、それらが空間的にどのように展開しているかを情報機器を用いて分析・解釈することが重要になってきます。そんな今、位置や分布、地域の特色や変容といった視点、言い換えれば地理的な見方・考え方を身につけることが求められているともいえます。そうした考え方は、私たちの生活の様々な面で活きるでしょう。
次回以降、その具体的な事例を紹介することにしますが、そうした地理的な見方や考え方について私の経験した観光旅行やポタリング(自転車による散歩・見学)などに即して紹介した『地域発見と地理認識-観光旅行とポタリングを通して-』(仮)が、春風社から近刊予定となっておりますので、併せてお読みいただけると幸いです。