毎年お盆は帰省する。
総武本線の旭駅から車で海に向かって15分の処に生家がある。
(車内からの見慣れた風景)
独り住まいの無口な兄が、「米に虫がたかって」困っていると言う。
炎天下、庭に新聞紙を敷く。その上に米をざらっと広げて、少し待つ。虫がちょろちょろと動き出す。それを潰していく。
兄、わたし、妹のイイ歳をした三人。麦わら帽子、首の手ぬぐいで汗を止めながら、虫を潰すことに一心になった。
そのとき、近所に響く町内放送。
「戦没者を追悼し、1分間の黙祷をお願いします」。一瞬身体に緊張がはしる。
米の上に集中してゆうに3時間。またさっきの続きに精をだす。
今年の8月15日。