ゴールデンウィークは例年のように帰省した。
JR総武本線の千葉駅から鈍行で1時間半の「旭」に生家はある。
ふと、旭の人口が気になりネット検索したら約7万人とでた。えっ? 昔2、3万人と記憶していたけどな。
そうだ。近隣の町と合併したのだった。
窓外の田圃が青々と美しい。
母の命日のある5月は特別に緑が濃く迫ってくるようだ。
20歳の時に上京して以来、何度この総武本線を利用してきたろう。
生家には姉、兄、妹が集まった。
話題はいつの間にか○○家の△△が臥せっているとか、最近あった葬式の話しなどになり、彼らのかつての元気な姿を思い出してはため息がでてくる。
自分が少女時代を過ごしたこの界隈も、人も代が代わり変化してきている。
田舎は、幾つになってもフワフワ漂っていたい自身の原点を振り返らせてくれる処だ。
そんな思いを土産にふるさとを後にした。
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今度の小説教室の宿題は漱石の『こころ』。
何度か読んでいるが、今回は大活字本で読んだ。
忘れてしまっている描写が多く、初めて読んだような新鮮さがある。
WOWOWで「ながたんと青と」を観る。漫画が原作の作品。
傾きかけた料亭を立て直すため、戦争で夫を亡くした料理人が15歳年下の学生と政略結婚する話しだ。面白かった。
著者は自由自在に読者を広い世界に連れてってくれる。
現実からまだ見ぬ世界へと――。
その思いは、田舎を飛び出した20歳のころと変わっていないが、経験は増えても何も掴めていない。