ぼちぼち日録

中心がない

2023年11月07日

シェア

11月中旬に、広島、神戸、京都への出張を予定している。

何人かの書き手と会って出版の話を進めたい。

 

そのお一人、広島の大学の先生から、写真集のなかに文章を入れた本を作りたいとご相談をいただいた。

さてどんな本をお薦めしようかあれこれ考えを巡らしながら、

書店を歩いたり図書館を覗いたりしている。

 

そんなとき、藤原新也の写真集『メメント・モリ』の強烈な文章に出会った。

 

「ちょっとそこのあんた、顔がないですよ」

 

ページをめくると、

 

「いのち、が見えない。

生きていることの中心(コア)がなくなって、ふわふわと綿菓子のように軽く甘く、口で噛むとシュッと溶けてなさけない〜〜」

 

と続く。

 

ガツン! ときた。

もう充分働いてきたから、もう歳(とし)だから、

余生はゆったり愉しみながら働いていこう、としている昨今の自分に。

 

神様はわたしから「中心」を奪ってしまったのか。

 

茹るような夏が過ぎ、秋の中にいる。