11月中旬に、広島、神戸、京都への出張を予定している。
何人かの書き手と会って出版の話を進めたい。
そのお一人、広島の大学の先生から、写真集のなかに文章を入れた本を作りたいとご相談をいただいた。
さてどんな本をお薦めしようかあれこれ考えを巡らしながら、
書店を歩いたり図書館を覗いたりしている。
そんなとき、藤原新也の写真集『メメント・モリ』の強烈な文章に出会った。
「ちょっとそこのあんた、顔がないですよ」
ページをめくると、
「いのち、が見えない。
生きていることの中心(コア)がなくなって、ふわふわと綿菓子のように軽く甘く、口で噛むとシュッと溶けてなさけない〜〜」
と続く。
ガツン! ときた。
もう充分働いてきたから、もう歳(とし)だから、
余生はゆったり愉しみながら働いていこう、としている昨今の自分に。
神様はわたしから「中心」を奪ってしまったのか。
茹るような夏が過ぎ、秋の中にいる。