不覚にも風邪をひいてしまった。
それまでもヤバいと思う場面は何度もあったが、早めに対処して免れていたのに。
出張、家族旅行、新しい出版社とのお付き合いなど、
自分で思うより疲れていたのだろう。
だるい。
熱はないのだがとにかくだるい。何もする気が起きない。
仕事はメールのチェックと電話にとどめた。
それでも所用で外出しなければならないこともある。
どこへ行っても駅は人でいっぱい。
目の前の人はスマホを見ながらでだらだらと歩いている。
若い娘同士の延々としたおしゃべりが煩い。
あ〜ぁ!
と、友人の話を思い出した。
彼は若い頃、横浜駅構内を歩いていて、いきなり大声で叫んだそうだ。
「ちがう!」
それまで前後左右を交差していた人の波が一瞬止まり、シーンとした。
彼のまわりに誰も近づかなかったという。
私もそんなふうに叫べたら随分スッキリするだろうと思うが、
できるはずもない・・
それにしても、彼の「ちがう」は、何を叫びたかったのだろう。