横浜・野毛の「ふくや」で久しぶりに「ながらみ」を食した。
ながらみはその昔、九十九里の海で豊富に獲れたカタツムリぐらいの大きさの貝で、
爪楊枝でひょいと中から身を取り出し、甘辛く煮ると美味である。
安価で、わが家の食卓にしょっちゅう登場した。
小学生の私は近所のオバサン達に混じって「ながらみ剝き」のバイトをした。
今は高級食材になり、稀に料亭などの付き出しにでるという。
ながらみは私に、さまざまな出会いをもたらしてくれた。
短歌の出版社「ながらみ書房」の及川社長、民俗学者の谷川健一氏、九十九里浜の写真家小関与四郎氏など。
ある時、谷川氏の『ボクは九十九里に行ったことがないんだ』のことばに、
じゃ行きましょう!と、谷川氏、及川社長、小関氏、みすず書房の編集者と私で九十九里に一泊旅行したこともあった。
しばらく記憶の外にあった「ながらみ」。愛しく蘇る。