ぼちぼち日録

白いかっぽう着

2024年09月18日

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自由が丘駅前に「自由が丘デパート」がある。

昭和の時代を思わせるレトロちっくな地下1階地上3階だての商業ビルだ。

 

1階は小さな店舗がぎっしり並んでいて時々買い物をする。

が、2階はというと、実のところ上がったことがなかった。

飲食店フロアらしいが、おんな一人では入るのを躊躇するような黄昏れ感があった。

 

ある日、勇気をだして階段を上がった。

ひしめくようにバー、寿司屋、飲み屋、焼肉屋などが連なっている。

一軒一軒そおっと覗きながら、自分一人でも入れそうな店を探した。

 

あった!

「発酵居酒屋 麹料理ごはん」。

 

おそるおそるドアを開けると、カウンターだけの落ち着いた店だった。

中年男性が真ん中に座ってオカミさんらしい人と話している。

目を引いたのは、女性の白いかっぽう着姿。

 

亡くなった母を思い出した。

いつもかっぽう着を付けていて服装の一部になっていた。普段は柄模様のそれだったが、何か大事な場面では白いかっぽう着になった。

その姿はシャキッと緊張感があり、子どもの私に「おんな」の部分を覗かせてくれた。

 

甲斐甲斐しさ、清潔感、色気と・・母親にスッポリ包まれるような懐かしさと・・そんな白いかっぽう着。

 

ここに通うことになりそうだ。