ケータイが鳴った。
表示されたのはよく知っている方の名前。
80歳を超えるご高齢の先生だ。
わたし:もしもし。
相手: ハァハァハァハァハァハァ・・
わたし:もしもし。
相手: ハァハァハァハァハァハァ・・
気持ち悪くおもって電話をきる。
こちらから折り返した。
相手: (自動音声で)「ただいま電話にでられません」
心配になり、ご自宅に電話した。
奥様: どなた? なんのご用?
わたし: 先生から電話をいただいたので。ご自宅にいらっしゃいますか?
奥様: さあ? あっ、いま帰ってきた。
先生: お久しぶり。15分後に電話ちょうだい。
15分後――
わたし: 何かありましたか?
先生: ありましたかって、あなたが電話をくれたんじゃないの?
わたし: いえ、先生からいただいたので。
先生: え? そうなの? 僕ウォーキングしてて。このケータイおかしいのよ。
よくわからないまま電話を切った。
しばらくしたら笑いがこみあげてきた。
一人の部屋で大笑い。
あの「ハァハァハァ」はウォーキング中の息づかいだったのか。納得。
わたしも高齢者の一人だ。