一日の終わりは心穏やかに、僅かでも明日への期待をもって眠りにつきたい。
そう思っている。
いま、そんな希いに寄り添ってくれるものがある。
川上弘美『センセイの鞄』の朗読(NHK FM)だ。
夜9時15分から15分間のラジオ番組だが、
わたしはリアルタイムでなくあえて寝る前に聞き逃し配信で聴いている。
かつて国語教師だった中年の独り身の男と、その教え子だった三十代の女とのほのかな恋模様。
ほとんどの場面が居酒屋のカウンターである。
とにかく二人はよく呑む。その仲はなかなか進展しない。
それがよい。
ナレーターのさっぱりとした語りもまたよい。
原作は谷崎潤一郎賞受賞作というが、小説やネットのあらすじは見ていない。
毎日15分の楽しみが半減してしまうのが怖いから。
聴きながら「今日はもうお終い。明日もヨロシク!」と、今夜も眠りにつく。