9月になった。
暑さは相変わらずだが、それでも吹く風は秋の香りをはこんでくる。
わたしの唯一の楽しみである「宗くん」と会う約束が急に中止になった。
試験があるとかで塾に行くという。
宗くんは甥の子どもで中学1年生になる。
最近、塾やXX教室、バスケの部活などで忙しそうだ。
つい最近までは市川のわが家で日がな何時間でも一緒に遊んだ。それは何ということもない時間でずっと続くと思っていた。
が、続くわけはないのだ。
少年の時間の経つのは早い。どんどん成長していく。
一緒に過ごした時間の何と貴重だったことかと、失いかけて初めて気づく。
これから宗くんも競争社会の渦に飲み込まれていくの? 「時間よ止まれ!」と願うのは、もちろんわたしの感傷である。
小椋佳は、少年から大人になる「うつろい」を好んで詩にした。
白い一日
♪ 遮断機が上がり振りむいた君は
もう大人の顔をしてるだろう ♪
夏が過ぎていく。