京都在住のT先生にメールを差し上げた。「今度京都に行くので久しぶりにお会いしてお喋りを楽しみたい」と。
しばらくお待ちしたが返信がない。行く日が迫ってきたのでまたメールをした。
それでも返信がない。
「あれ。嫌われちゃったかな」
「でもそれにしてもその気がないなら、適当にその日は無理とか返信してくれてもいいのに」などと気を揉んだ。
友人とは違うので「どうして返信してくれないの?」と問うわけにもいかない。
著者と出版者(コーディネーター)との間にはれっきとした距離があり、それを無理やり縮めようとするとヤケドする。
よし。とあきらめかけたとき、
「すみません。迷惑メールに入っていて気づかなくて」
そういうことがあって、あたふたと京都入りした。
寺町通りを歩きたいという私にT先生は商店街、本能寺、高瀬川、日本最古の劇場という南座など案内してくださった。先生は歌舞伎の研究者である。
そしてディナーは、加藤登紀子の親族が経営しているというウクライナ料理店で食した。
木々は紅く燃え、雨上がりの古都はしっとりとしていた。
いいな・・京都は。何度来てもいい。でも何故いいのか上手く言えない。
渚ゆうこの「なのにあなたは京都へゆくの」が聴こえてきそうだ。今の人は知らないだろうな。かつてヒットした曲だ。
仕事場をここに移して何年か暮らしたい。
